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新自由主義は保守か?それとも? ニュース記事に関連したブログ

2012/05/16 14:25

 

三橋貴明さんと中野剛志さんの共著『売国奴に告ぐ!』を読み返していると、東西冷戦時代の右派だ左派だという政治の区分はとうに当てはまらなくなっていると感じる。そういう枠組みの中では新自由主義が保守に見えてくるが、保守はなんでもかんでも「改革」したり「ぶっ潰」したりはしないものだ。

 

「共産主義、社会主義」対「民主主義、自由主義」という枠組みに囚われていると、格差是正を訴えた社会党のオランドが新自由主義者のサルコジに勝利したことが単にサヨクが保守に勝っただけに見えてしまう。もっとも、あちらのサヨクは日本のとは違い、愛国心があるそうだが・・

 

中国は共産党とそれに結びついたわずかなエリートが愚民を指導し、自分たちが富を独占したおこぼれが愚民を潤すという体制だが、同じ図式が民主主義国家でもアメリカイギリス発の新自由主義、グローバリズムの進展で世界中で広がっている。どちらかがまねをしたのか、それとも偶然なのか。

 

その考え方はアメリカからの要望や圧力により日本にも大きな影響を与え、小沢・細川内閣の経済構造改革に始まり、橋本内閣の消費増税を含む行財政改革、小泉内閣の郵政・構造改革、そして、小沢・鳩山の政権交代サギから菅・野田の増税・TPPと続き、現在は橋下維新というわけである。

 

『売国奴に告ぐ!』ではそういう流れの中で、橋下徹大阪市長を取り上げたのだが、橋下氏はそれに対しても中野さんに激しい罵声を浴びせた。例えば、中野さんが新自由主義者がポピュリズムを利用するやり方を批判した部分は次のようなものだ。

 

中野
 
(前略)
 時代劇にありますよね。お代官様と越後屋が癒着してお金をかすめているせいで、庶民に取り分が回ってこない。それはけしからんという、ルサンチマンです。そこで、その甘い汁を吸っている連中を、困っている自分たちのレベルに引き下げようとして叩く。建設業を叩き、郵政を叩き、最近は農協を叩き、公務員を叩くわけです。

 これはいわゆるポピュリズムです。ファシストの典型的なやり方で、日本だと小泉純一郎、もっと大規模にやったのはヒトラー、現在進行形が橋下徹大阪市長です。誰か分かりやすい敵をターゲットにして、叩きまくる。強く叩くほどに、人々は溜飲を下げられる。それから、敵をたたいている指導者の姿を見て、そこに不屈の精神を読み取る。このリーダーについていけば、この苦しい状況を突破できるんじゃないかと期待する。やがて時代の閉塞感の元凶は、その叩かれている既得権益者なんだと思い込む。TPPの場合は農協だし、大阪の場合は大阪市役所ですね。

 

たぶん、橋下市長がこの部分に反論したのが以下のツイッターの書き込みだ。

 

(以下は橋氏市長の4月30日のツイッターから引用)
売国奴に告ぐの中で、じゃあ今の日本、何をしたらいいのか?については、国債を発行して公共事業をどんどんやる。これしかなかった。あとは改革の動きを全てひっくるめて新自由主義とレッテルをはり、とにかく新自由主義はダメだ、ダメだの連呼。これだけの連呼の技術は選挙に出れば活きてくるよ。
 

また外郭団体や一部業界の仕組みから、カネが回らない。もっと付加価値を生む主体が参画すれば需要と供給の連鎖がより力強く発揮されるかもしれないのに、付加価値を生まない主体が既得権によって守られている。これを正すのは、新自由主義でもグローバリズムでもなんでもない。単なる改革だ
 

しかし天からカネは降ってこない。制度の不断の見直しが必要。見直しをすれば当然そこで反対論は出る。外郭団体の随意契約も民間に開放することで、民間にチャンスが生じる。付加価値を生まずに既得権益化してカネをもらっているところは見直す。これをやり続けることが新自由主義か?
引用ここまで)

 

中野さんが指摘しているポイントはそのポピュリズム的な手法であり、ファシストとまで言っているのだが、橋下氏はそれには答えず、いまは「改革」が必要なのだと反論している。しかし、中野さんはそういう反論があることをあらかじめ予想したように、上記に続いてこう述べている。

 

 しかしどうでしょう。僕だって、農協や大阪市役所に問題がないとは思いません。でも、彼らが持っている既得権など、マクロ全体から見ればたかが知れているじゃないですか。問題はあるにしても優先順位は低い。(『売国奴に告ぐ』P207~208から)

 

このあと、中野さんは、韓国などではそうして既得権益を壊したあとに大企業や外資が入り込み、結局新たな既得権益が生まれたと指摘する。そして、新自由主義ではそれは市場原理に任せて自由で効率的な資源配分をした結果だからかまわないということになると批判しているのである。

 

橋下氏は上記のツイッターで「もっと付加価値を生む主体が参画すれば需要と供給の連鎖がより力強く発揮されるかもしれないのに・・」と述べているが、その「もっと付加価値を生む主体」が新たな既得権益を生んだとしても全体的に効率化すればいいという考え方こそが新自由主義なのだ。

 

彼は自分が新自由主義だとは思っていないだろうし、ほとんどの新自由主義者もそう自覚している人は少ないかもしれない。しかし、橋本徹の元に集まっている人たちの多くはそういう人たちだ。そして、中野さんの「ファシストのやり方」という指摘を裏付けるような記事が、昨日の夕刊に出ていた。

 

電力需給:「節電」新料金で不足2.6%改善 関電提示
毎日新聞 2012年05月15日 大阪夕刊
(前略)
 ◇「通報制度」など大阪府市独自策
 
一方、大阪府市エネルギー戦略会議は15日、独自の節電策を提示した。照明が明るすぎるオフィスや店舗を住民が見つけて通報し、中小事業者に節電を促す「節電通報窓口」の設置や、真夏の午後に役所を閉めて節電するなど、家庭や事業者、官公庁などを対象に計約110万キロワットの節電を目指す

http://mainichi.jp/area/news/20120515ddf001010007000c2.html

 

まだ検討中だとは思うが、中小企業などを対象に住民が通報するそうである。まあ、関西にもたくさんあるパチンコ屋が全部真夏の午後に休みになればずいぶん節電できると思うが、多くの中小企業にとってはまさに死活問題だろう。納期に追われて必死で作業していると通報されてしまうのである。

 

これは明らかに「密告社会である。こういう発想が出てきて、それを実際に策として提示することは確かに革新的ではあるが日本人の普通の神経ではない。これも構造改革なのだろうか。少なくともこういうのは「保守」の考え方ではなく、イメージするのはソ連であり、ナチスドイツであり、中共である。

 

中野さんは文芸春秋の最新号で、『橋下支持の自称「保守」』という表題で、新自由主義を保守だと勘違いしている橋下支持者に対して厳しい批判を浴びせている。企画のタイトルは「人物研究 橋下徹 12人の公開質問状」なのだが、彼は橋下氏にではなく、その支持者を批判しているのである。

 

しかし、大阪の既得権の闇というのは、金銭的なことだけではなく、人事や雇用、さまざまな慣行など、風土そのものの問題だ。先日も採用試験で入れ墨の有無をチェックするとかしないとか言っていると思ったら、今度は50人もの職員が入れ墨をしていたことが分かるような状態なのだ。(もう100人に増えている・・)

 

たしかに、中野さんの言うようにマクロ経済には何のかかわりもないことなのだが、大阪にはそれこそ革命的な手法が必要な部分がまだ残っているのである。まあ、これもまた新たな叩く相手ということになるのだが、こちらの方は遠慮なくぶっつぶしてほしいとも思うのである。

 

ただ、原発を政治の力で止められた挙句に電力不足が懸念される状態になっている関電を、入れ墨職員と同じように糾弾する橋下市長やそのブレーン達は明らかにおかしい。こんないい加減さを国政の場に持ち込まれたらとんでもないことになると思う。それは絶対に阻止しなければならない。

 

それなのに、まだどこかでその危なっかしいが強力なパワーで大阪を何とかしてくれると期待を持ち、もう少し様子を見ようと思っている
中野さんから「あなたは間違いなく『橋下支持の自称「保守」』です」と言われそうだ。

(以上)

 

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デフレで戦死者15万人? ニュース記事に関連したブログ

2012/05/15 13:45

 

昨日のTVタックルは三橋貴明さんも出演していて、相当頑張って発言していた。なにしろテレビというのは時間をかけて説明できないし、印象論ばかり大声で話す相手を論理で攻めてもかみ合わない。だから、普段はデータや事実をベースに話をする三橋さんは大変だと思う。

 

それに、視聴者の方もそれなりの知識がないと、他の出演者の印象論に引きずられて彼の言っていることが頭に入らないかもしれない。それでも、あの難しい状況のなかで、結構ポイントを話せていた。
その三橋さんが、一昨日のブログでは、デフレ突入による自殺者の急増に触れていた。

 

我が国は戦争でもやっているのでしょうか?
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11249285731.html

 

このなかで三橋さんは、消費増税のあった1997年から98年に自殺者が約2万人から3万人に急増し、その後一向に減少する気配がないという事実を踏まえ、次のように述べている。

 

『自殺者の97年比1万人増は、すでに14年間続きました。すなわち、日本はデフレが原因で、14万人以上が亡くなった可能性があるのです。我が国は戦争か何かでも、やっているのでしょうか?』

 

たしか、京都大学の藤井聡さんも同じような指摘をしていたと記憶しているが、この事実を知らない人にデフレの怖さを知らせるには非常にインパクトがあるはずだ。デフレの怖さを端的に示すために、広くかつ繰り返し訴えてゆくべきことだと思う。

 

人が自殺する原因はさまざまだが、景気の良し悪しが大きく関係していることは確かだ。そして、過去の統計を見ると、物価の変動、すなわちデフレ、インフレと自殺者数にはかなり相関があることが分かる。そこで、高度成長期から現在までの、消費者物価(総合)と自殺者数の推移を見てみよう。
以前に使ったことがある、高度経済成長期の経済成長率のグラフも掲載しておきたい。

 

《参考》

 

神武以来言われた好景気のあと日本を襲った、『なべ底不況』期には自殺者が増え、その後、池田勇人総理の『所得倍増計画』のもと、再び成長が始まると大きく減少している。そして、このなべ底不況の時には物価上昇率は当時としてはかなり低くなっており、この時期はデフレ気味だったことが分かる。

 

次に、田中内閣の時代には第1次オイルショックに端を発した、『狂乱物価』と言われる25%近い激しい物価上昇があり、1974年には名目GDPは18%くらい有るのに、実質GDPはマイナスになるというかなり激しいインフレを経験している。そして、やはりこの時も自殺者は増加傾向にあった。

 

その後は第2次オイルショックによる景気低迷でまた急増し、自殺者は約2万5千人となってしまうが、バブル景気と共にそれは沈静化する。そして、バブル崩壊後もしばらくは約2万人と、オイルショック前の水準に止まっていたのだが、あの橋本行財政改革により、一気に年間1万人もの自殺者増を招くことになる。

 

ここで注目したいのは、それまでは物価変動や景気の変動と自殺者数の関係がかなり明確だったのに、バブルが崩壊してしばらくは自殺者はじりじりと増えてはいるが、以前のように急増してはいないということだ。それが、1998年に一気に爆発したのはなぜだろうか?

 

実は、バブル崩壊後もGDPは何とか増加し続けており、それまでとは比較にならないとはいえ経済成長は続いていた。そしてそれは、民間の投資が激減するなか、政府が国債を増発して、いわゆる「国の借金」を増やしながら、公共事業などの政府支出を増やしていったからだった。

 

つまり、国の借金を増やすことにより大勢の自殺者を救い、日本経済の崩壊を防いだのである。
それは中途半端であって、もっと思い切った財政出動をするべきだったとは、いまだから言えることであって、このとき現政権のように何もしなかったらもっともっと悲惨な状況になっていたに違いない。

 

それはともかく、なんとかギリギリで耐えていた人たちが消費増税などの橋本行財政改革で耐え切れなくなり、日本は戦後世界のどの国も経験したことのないデフレスパイラルに沈み込んでいった
経済政策の失敗が、戦争していなくても犠牲者を生む悲惨な結果をまねいたのである。

 

TVタックルでは、デフレの意味も、それによりどれだけ多くの人が犠牲になっているかも全く分かっていない出演者がほとんどだった。古賀某などは、増税にこそ反対しているものの、「競争力のない業者はどんどんつぶれていったらいい」と言い放っていた。過激な新自由主義者の面目躍如だ。

 

それでも、自民党デフレ脱却、経済成長を公約案に掲げ、そこに国土の強靭化を盛り込むなど、三橋さんたちの活躍により政治がいま何をするべきかは、かなり広まってきている
こういう正しい政策を訴える人たちを、微力ながら応援していきたいと思う
(以上)

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毎日新聞の妄想記事??「増税 あなたと二人」 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/14 14:00

 

表題の見出しがついた記事が、昨日の毎日新聞朝刊に掲載された。『ストーリー』と名づけられたこの記事は一面のかなりのスペースと、三面の大半を占める後半部に続く大特集だ。そして、そこにも「野田・谷垣氏 相思相愛」「財政再建 志一つ」と日刊ゲンダイ並みの見出しが並ぶ。

 

 

三面にはもう一つ「ケミストリーが合う」という意味不明な見出しも見えるが、谷垣総裁が大型連休前の講演で「野田さんとはケミストリーが合う」と語ったそうで、「ウマが合う」というニュアンスだと記事では解説している。そして、一面には両者が握手している写真と、毎日新聞の意図がよく分かる。

 

この記事、東京版は見出しなどが違うようだが、この程度の内容ではネットユーザーにバカにされそうだと思ったのか、毎日.comには掲載されていないようだ。露骨な印象操作の記事を新聞テレビしか見ない人達用に、日曜日を狙って紙面にだけ掲載したのだろう。

 

前田浩智政治部編集委員をはじめ合計9名の記者が取材したこの記事に、今後の政局を占うような新事実は書かれていない。ひたすら「相思相愛」「共通するDNA(東京版ではこんな表現も使っている)」を裏付けるような過去のエピソードを集めただけだ。

 

このあほらしい記事を書き起こすひまはないので、この記事の意図がわかる冒頭部を紹介する。
(ただし、太字は筆者)

 

 民主、自民両党の間にしばしば、太い線が浮かび上がる。両端を持つのは、野田佳彦首相と谷垣禎一総裁だ。「国民は橋をかけ、双方が歩み寄り、握手することを求めている」。消費増税法案が審議入りした11日の衆院本会議で、野田氏はこう述べた。谷垣氏を意識した答弁だろう。ただ、二つの党はやがて、衆院選で激突する。ともに下手な妥協は許されない。二人はいわば「許されぬ仲」でもある。なのに首相周辺は「相思相愛」と語る。根底にあるものを追うことにした。

 

野田、谷垣両氏が「許されぬ仲」で「相思相愛」ということにして、その裏付けになりそうな取材をしたようだ。そして、首相が一回り下の同じ酉年だとか、野田氏が初当選して間もない頃に一度だけ食事をともにしたことを『「相思相愛」の原風景』などと書いている。

 

さらに、それぞれの若かりし日の写真を掲載して、まるで二人が若い時からお互いを意識していたかのような印象を与えようとしている。しかし、両者の接点はその「原風景」とやらと、野田氏が影の内閣の財務担当で谷垣氏が財務大臣だった時の委員会での論戦だけで、相思相愛どころか、政治家としての付き合いはほとんど無かったに等しい。

 

要は、両者が親密であると印象付けることにより、行き詰まりを見せている消費増税を何とか前に進めたいということなのだろう。しかし、両者がいくら個人的に親密でも恋仲でも、消費税が前に進むとは思えない。谷垣総裁が党内の意見を無視して、一存で事を決めるはずがないからだ。

 

谷垣総裁は就任後の2年8ヶ月を、ひたすら党内をまとめることに専念してきた。そして、2010年には政権交代の反省を踏まえて「綱領2010」を纏め上げ、震災対応でも全く動かない民主党政権に対し数多くの提言をし、権限の無い野党の立場ながら民主党よりはるかに実地の活動もこなしてきた。

 

また、最近は積み上げてきた議論に基づく衆院選の選挙公約案や憲法改正草案など、具体的な政策や考え方を次々と発表している。そして、総裁自身は、捏造まがいの報道で発言を曲げられる印象はあるが、実際には党として決めてきたことを逸脱した発言はしていないのである。

 

発信力が弱いなど不満はあるが、非常に幅広い考えの持ち主が集まる自民党をここまでまとめてきたことは事実で、自分からいままでやってきたことを全否定するような行動をとるとは考えにくいいまは野田政権が自然に崩壊するのを待つだけでいいのである。

 

記事は、野田首相は自民党が賛成してくれないとどうしようもないとか、小沢氏を切るのか党内融和を維持するのか決断を迫られるという分かりきっていることを述べた後、こう結んでいる。

 

 谷垣氏も、実は余裕がない。早期の衆院解散に持ち込めなければ、9月の総裁選を乗り越えられない恐れが一気に高まる。野田、谷垣両氏は単独では事態を打開できず、互助的な関係にある。「相思相愛」の陰には、冷酷な政治の現実もある。
 となれば、野田、谷垣両氏が再会談に活路を見いだす可能性は高い。ケミストリーだけでは当然、行き詰まる。二人がこれを昇華させるには、タイミングと果断な決断が決め手となる。

 

「二人がこれを昇華させる」などと、最後まで気持ちの悪い記事だが、前田編集委員は8人も部下を使ってこんなつまらない記事を書き、一体どんな効果を狙ったのだろうか。倒産寸前のはずの毎日新聞だが、こんな記者をまだリストラしていないとはずいぶん余裕があるではないか。
(以上)

 

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【消費税を考える】逆進性を軽減する「軽減税率」 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/13 14:23

 

一体改革とは名ばかりの消費増税法案が明日から本格審議にはいる。自民党を何とか引き込みたい財務省とマスコミは、これまでは「国民にお願いする前に自ら痛みを課す」という謳い文句のもと、公務員の給与削減や議員定数の削減などを掲げて、それと引き換えに増税する作戦だった。

 

ところが議員定数の削減は進まないし、公務員給与削減も不十分と思われたのか、世論調査でも増税に賛成する人は少しも増えない。そこで、やむなく以前から指摘がある逆進性の問題などを取り上げ、自民党などの賛同を得る作戦に切り替えたようである。

 

政府は低所得者ほど負担が相対的に大きくなる消費税の逆進性への対応として、低所得者に現金を配るという案を用意している。しかし、いかにも民主党らしいバラマキ案に野党から批判が出ている。
そこで、クローズアップされようとしているのが、生活必需品の税率を抑える『軽減税率』である。

 

軽減税率についてはこのブログでも何回も取り上げているが、先進国のなかでは日本のように単一税率の国の方がむしろ少なく、複数の税率を採用しているケースの方が多い
何回も使っている図だが、海外の付加価値税率をもう一度確認しておきたい。

 

ところが、その事実を無視し、財務省もマスコミも標準税率だけを外国と比較して国民に説明してきた。おかげで国民の多くは「先進国の多くが20%もあるのだから、日本も10%や15%くらいはやむを得ない」と思わされてきた。しかし、増税反対の声が強く、そうも言っていられないと考え始めたのだろう。

 

複数税率は「制度が複雑になる」「事業者の負担が増える」などの問題はあるものの、現実にすでに多くの国が採用しており、きちんとした制度の見直しをすれば導入出来ないはずがない。ただ、早く増税したいあまりに、準備期間をおかずに強引に進めると大混乱の心配もある。

 

制度が複雑になる理由のひとつが、線引きの難しさだ。
それについて、先日の毎日新聞に各国の線引きの事例が掲載されていたが、ネットの記事にはなぜか掲載されていないので、紙面をスキャンした。
(最近こういう事例が多い。掲載されていても引用できないケースが増えた)

出典:『毎日新聞 2012年05月07日(大阪朝刊)一体改革:軽減税率 焦点に』
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m020062000c.html

 

フランスでの国内産業保護の例を除けば、食料品であってもぜいたく品には軽減税率が採用されないということのようで、外食も贅沢ということになっている。このように、特に食料品の線引きがややこしいようだが、直感的に違いは分かるような気がするし、慣れればそれほど困ることはないと思う。

 

ただ、記事でも指摘しているように、その線引きしだいで税率が大きく変わることになるので、また新たな利権が生まれる心配もある。当の新聞社が増税キャンペーンの見返りに新聞の軽減税率を求めていることなどはまさしくそれであり、「お前がいうな」と言いたいところだ。

 

また、記事によると、例えば食品や新聞・出版物、医薬品への税率をゼロにしている英国の場合、軽減措置で付加価値税の税収が本来の6割強になっているという。だから、軽減税率を導入するとさらに標準税率を上げなければならないというのが財務省の言い分のようだ。

 

それはともかく、軽減税率は消費税の逆進性を軽減するので、今後の導入を検討すべきだ。
しかし、この税には低所得者の負担が大きいということだけではなく、中小零細企業の負担が大企業より大きいという逆進性の問題もある

 

また、逆進性だけではなく、雇用の抑制効果非正規社員を増やす、あるいは、事業が赤字でも納税義務がある、輸出戻し税などの不公平があるなどなど、非常に問題点の多い税なのだ。そして、なによりデフレ期に税率を上げれば、消費を減退させてますますデフレ不況が進んでしまう

 

先送りしてはいけないのは税率を上げることではなく、そういう問題点を踏まえた新しい消費税の形を作り上げることなのだ
(以上)

 

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【消費税を考える】消費増税は雇用も抑制してしまう ニュース記事に関連したブログ

2012/05/12 14:43

 

財務省のマスコミなどへの工作にもかかわらず、毎日新聞の世論調査では消費増税に反対する人が60%いる。また、野党だけではなく、民主党内にも多くの反対派を抱えていることもあり、野田首相の「政治生命をかけた」消費増税法案は難航しそうだ。

 

そこで、マスコミが増税推進のために新たな論点として浮上させようとしているのが「軽減税率」だ。
先日のエントリでも取り上げた毎日新聞の財務省御用達の赤間記者が、この法案が審議入りした8日の朝刊で『軽減税率 焦点に』と大きな見出しのついた記事を書いている。

 

一体改革:増税法案8日審議入り 軽減税率が焦点に
 
毎日新聞 2012年05月07日
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m020062000c.html

 

記事ではまるで自民党が軽減税率を提案しているかのように書いているが、自民党はあくまでも解散総選挙を求めていく方針のはずだ。ところがこの記者は、その提案された軽減税率を政府・民主党が受け入れるかどうかが法案成立の焦点だとしているのである。明らかな世論誘導だ。

 

御用新聞と化した毎日新聞は、すでに4月25日の社説で『消費増税法案 複数税率の検討を』と軽減税率に言及している。ということは、どうしても消費増税したい野田内閣と財務省が、これまでの方針を変え、軽減税率の採用を論点にして野党を協議に引き込もうとしているのだろう。

 

ただ、軽減税率は消費税の逆進性の問題への一つの解決策になる。それに、財務省などが日本よりはるかに税率が高いと主張する諸外国の多くが、実はそれほど大きな負担ではなかったことに国民が気づくだけでも意味がある。質疑のなかで、そういうことを明らかにしていくことも必要だ。

 

また、消費税には逆進性以外にも様々な問題がある。例えば中小零細企業が価格に転嫁できない問題がある。また、大手輸出企業などへ納品している中小企業は価格転嫁をなかなか認めてもらえないのに、その大手輸出企業側には輸出戻し税が支払われるという問題もある。

 

そして、そもそも消費増税で財政は良くなるのかという論点もあるし、それと関連する景気条項も論点だ。しかし、ほとんど知られていないことだが、消費税(=付加価値税)には『雇用抑制効果』がある、すなわち消費増税は特に生産現場の雇用を失わせるという指摘がある。

 

消費税引き上げ論議の死角(要旨)
富士通総研経済研究所研究顧問 (早稲田大学教授) 岩村 充
 
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/economic-review/200604/page15.html
(全文)はこちら⇒   

 http://jp.fujitsu.com/group/fri/downloads/report/economic-review/200604/02.pdf

 

岩村教授の論説の該当部分を超要約してみよう。

 

日本の消費税は人々の消費活動に対して網羅的に課税する間接税であるが、実際に納税義務を持つのは事業者であり、EUなどの付加価値税の類型である。つまり、消費税は直接税である法人税と同じように、企業活動が生み出す価値に対する課税という、共通の性質を持っている

 

付加価値税と法人税の類似性について整理してみよう。
機械設備と労働力により原材料を加工して商品として販売する会社の場合、法人税と消費税(付加価値税)は次のようになる。

 

法人税負担額=法人所得×税率
              =(売上-原材料費 - 減価償却費 - 賃金)×税率

 

付加価値税負担額=売上×税率 - 仕入×税率
                  =(売上 - 仕入)×税率

 

付加価値税の『仕入』には原材料費と減価償却の対象となる設備資産も含まれるが、これはある程度の年数を通算してみれば、法人税の控除項目である原材料費と減価償却費の合計と一致する。
つまり、法人税と付加価値税の違いは控除項目である『賃金』の有無だけということになる。

 

だから、消費税(付加価値税)が上がるということは、企業としては雇用を減らして機械設備を入れたほうが控除を受けられるということになり、『雇用抑制効果』が生まれてしまうのである。それは賃金が控除対象になっている法人税にはない大きな弊害である。

(超要約ここまで)

 

岩村教授は、この問題は賃金の支払を労働の仕入の対価とみなして税体系に取り込む、つまり、『消費税負担額=(売上げ-仕入-賃金)×税率』とすることで解消できるとして、これを『第3の道』として提唱している。さらに、そうすることで消費税の『逆進性』の軽減も可能だとしているので、興味のある方は原文を参照してほしい。

 

現在の日本の消費税は制度上の様々な問題を抱えている。デフレのいま、税率を上げるのは論外だが、問題だらけの仕組みそのものをもう一度見直すことは必要だ。消費増税法案が審議入りしてしまったいま、自民党はそれらの問題点について指摘しつつ法案成立には反対すればいい。

 

まずは消費増税を阻止し、民主党政権を終わらせることが先決だ。
(以上)


 

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橋下市長のお気に入り?学者、官僚、政経塾 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/11 17:31

 

橋下市長の弁舌はさすがだ。ネットで話題になっている記者会見でのMBSの女性記者との君が代起立論争は完全に市長の勝ちである。最後に女性記者が吉本新喜劇の池乃めだかよろしく「これくらいにしておきますけども・・」と言ったのには笑わせてもらった。

 

さらに、それを市長が「吉本新喜劇でも、もうちょっと丁寧な対応をしますよ」と突っ込み、話を打ち切ろうとする女性記者にさらにしつこく突っ込みを入れていくところなどは、物事を勝ち負けで色分けしがちな彼の特質を見せ付けられたような気がした。

 

真夜中の太陽!さんのブログから【でた~、とんでもない記者?】(記者会見の動画あり)
http://ameblo.jp/trade-daisuki/entry-11246964972.html

 

もちろんこの論争は橋下市長の言っていることが絶対に正しい。記者はそれを子供に対してどう説明するかなどと、この手の人たちの得意な論法で自分の意見をぶつけるのだが、市長のほうも正論だけではなく、いかにも彼らしいすり替えや詭弁も使いながら相手をやり込める

 

相手の機先を制してしゃべるなど、議論の技術も恐ろしいほどで、自分が正論かどうかに関係なく相手を論破できそうだ。この人と直接会って議論するのは、例え中野剛志さんであっても避けたほうがいいように思う。言っていることが正しいかどうかではなく、議論の技術で彼に勝つのは難しい

 

それにしても、相手の女性記者のほうも、あれだけやり込められても全く平気な様子だ。どうやらこちらも筋金入りのようで、このやり取りを聞いていると、いまの世の中を動かしているのは正論や事実に基づく情報ではなく、橋下的な白を黒と言いくるめる技術や野田的な厚顔無恥なのだと改めて思う。

 

橋下市長が女性記者をやり込めるところを見ていて、この人がデフレ脱却の必要性を正しく認識してくれたらなあという思いを持った。しかし、大阪市の特別顧問にはあの高橋洋一さんもいるのに、橋下市長は、いまだに国と地方自治体の財政とその役割の違いすらわかっていないようだ。

 

その大阪市の特別顧問だが、現在のところ次のようなメンバーになっている。( )は筆者が追記。

 

特別顧問一覧
府市統合本部関係
上山 信一 慶應義塾大学総合政策学部教授  (運輸省)
古賀 茂明 元経済産業省大臣官房付 
堺屋 太一 作家、元経済企画庁長官 
原  英史 株式会社政策工房代表取締役社長  (通産、経産)
橋爪 紳也 大阪府立大学21世紀科学研究機構教授、大阪市立大学都市研究プラザ特任教授
飯田 哲也 認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所所長
余語 邦彦 ビジネス・ブレークスルー大学大学院教授 (科学技術庁、通産省
安藤 忠雄 建築家、東京大学名誉教授 

 

府市(大都市制度)関係 
山田  宏 前杉並区長 松下政経塾
金井 利之 東京大学大学院法学政治学研究科教授 
佐々木信夫 中央大学大学院経済学研究科教授  (東京都庁)
土居 丈朗 慶應義塾大学経済学部教授 
赤井 伸郎 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授 

 

人事関係 
山中 俊之 株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長、関西学院大学大学院経営戦略研究科教授 外務省
稲継 裕昭 早稲田大学政治経済学術院教授 (大阪市職員)

 

区政関係 
中田  宏 前横浜市長、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科客員教授 松下政経塾

 

財政関係
高橋 洋一 嘉悦大学経営経済学部経営経済学科教授 (財務省

 

西成特区構想関係
鈴木  亘 学習院大学経済学部経済学科教授  (日銀)

 

参与も含む全名簿はこちら⇒大阪市特別顧問及び特別参与
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000157541.html

 

なんと、あの「消費増税でデフレ脱却!」の珍説を野田首相にも採用された慶応大学の土居丈朗教授もメンバーではないか。府市(大都市制度)関係として名を連ねているが、あの調子では「地方税を独自に毎年上げて、大阪だけ景気回復!」などと言っているかもしれない。

 

顔ぶれを見ると大半が学者で、しかも、元官僚が非常に多い。このように橋下市長は学者と官僚が好きなのに、なぜか官僚で大学の先生である中野剛志さんは別のようだ。よほど彼の指摘が気になっているのだろう。そして、あの罵詈雑言は自分の発言の影響力を計算した上で、中野さんのイメージを落とそうとして発信したのだろう。

 

「橋下市長があれだけ怒っているのだから、官僚のまま大学の先生になっている中野という奴は、とんでもないやつに違いない」と思わせたかったのではないか。
鋭い指摘に感情的になりながらも、そういう計算ができるのも橋下という男の特徴だ。

 

ただ、彼はその罵詈雑言の中で、中野さんに新自由主義と言われたことに対して、自分のやっていることは新自由主義ではないと言っている。つまり、そう言われたことも含めて中野さんの『売国奴に告ぐ!』に書かれていることをずいぶん気にしていて、色々考えているようにも思えるのだ。

 

以下は『中野剛志共著「売国奴に告ぐ」を読んだ』で始まる橋下市長の4月30日のツイートをまとめたサイトだが、この中で次のように言っている。

 

(以下引用)
売国奴に告ぐの中で、じゃあ今の日本、何をしたらいいのか?については、国債を発行して公共事業をどんどんやる。これしかなかった。あとは改革の動きを全てひっくるめて新自由主義とレッテルをはり、とにかく新自由主義はダメだ、ダメだの連呼。これだけの連呼の技術は選挙に出れば活きてくるよ。

 

また外郭団体や一部業界の仕組みから、カネが回らない。もっと付加価値を生む主体が参画すれば需要と供給の連鎖がより力強く発揮されるかもしれないのに、付加価値を生まない主体が既得権によって守られている。これを正すのは、新自由主義でもグローバリズムでもなんでもない。単なる改革だ。

 

しかし天からカネは降ってこない。制度の不断の見直しが必要。見直しをすれば当然そこで反対論は出る。外郭団体の随意契約も民間に開放することで、民間にチャンスが生じる。付加価値を生まずに既得権益化してカネをもらっているところは見直す。これをやり続けることが新自由主義か
(引用ここまで)

 

 《2012年4月30日(月)のツイートのまとめ》
付加価値を生まずに既得権益化してカネをもらっているところは見直す。これをやり続けることが新自由主義か

 

橋下市長は何事も自分の価値観で判断すると言っており、その言動からも確信的な新自由主義者とはちょっと違うように思う。大阪の昔からの大きな問題である既得権の闇に迫ろうとしているし、大阪の未来像を示そうとしてさまざまな検討を進めさせてもいる。

 

激しく中野氏を罵る橋下市長の手法は、女性記者に対してやったのと同じだ。相手の立場や言葉尻を利用して論点のすり替えや詭弁を使い、そこに自分の主張を交えながらとにかく議論に勝つことを目指す。そして、自分でもそれを自覚しているのではないか。できれば、敵に回したくない人物だ。

 

ツイートしながら考えをまとめるという橋下市長だが、罵詈雑言を浴びせながらも中野さんに新自由主義、グローバリズムと言われたことを気にしている。彼がもう少しその視点で自分の考えや周りの意見を整理し、彼のツイッターをフォローしているという池田某や土居某から離れ、せめて高橋洋一さんあたりの意見を聞くようになれば大分変わると思うのだが。

 

もっとも、市長としての彼は、夏の電力不足の問題を甘く見ている。
このままではこの夏の大阪が大混乱になることは必至で、それどころでなくなりそう
だが・・。

(以上)

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珍理論発見!消費増税で景気が良くなる!? ニュース記事に関連したブログ

2012/05/10 14:00

 

御用学者といわれる人たちがいる。ネットで調べると次のように定義している。

 

【御用学者】(はてなキーワードより)
おもに権力者・権力側に迎合し、調査結果などを権力者ないし依頼者に都合の良い方向に導き出す学者。
省庁の審議会に招かれその省庁の進める方針に従った意見を述べる、等々、御用学者の活躍の幅は広い。

 

この人の場合はどうなのだろう。今年3月22日に参議院予算委員会公聴会で我らが藤井聡教授と共に証言した慶応大学の土居丈朗教授である。このときは消費増税をやればデフレ脱却景気回復が見込めるという珍説を披露して、横で聞いている藤井先生をあきれさせた人だ。

 

それに関する拙エントリ⇒【増税派のウソ「景気が良くなっても税収が増えない」を暴く藤井聡教授 】 2012/03/28 

 

そのときは、消費税率の引き上げを段階的に、しかもあまり間をおかずに実施すると、増税により物価が上昇してデフレから脱却できると説明していた。しかし、そんな事例は世界の歴史の中でどこをさがしても無いはずで、もちろん土居センセイは実例など示さなかった

 

しかし、その珍説は増税派のよりどころとなったようで、野田首相が「消費増税で景気が良くなる」と発言しているのはこれが根拠なのだろう。この先生は『財務省財政制度等審議会』委員なのだ。

よく恥ずかしげも無くこんなへ理屈を国会の場で発表するなと思っていたら、御用学者の活躍の場は広いようで、昨日のNHKニュースでも同じようなことを述べていたそうだ。

 

それを見た人のコメント。(三橋ブログから)

 

破綻論者がまた

朝のNHKニュースで慶応大学土居教授が、「消費税増税により物価が上がればデフレも脱却できる」だって。

おまけに、消費税増税しないとギリシャになるんだそうです。

朝からトンデモ論です。やれやれ。

ことよさし 2012-05-09
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry2-11245482318.html#comment_module

 

そのニュースは見ていないが、同じNHKに視点・論点という番組があり、そのホームページに今年の1月に土井先生が解説した内容のアーカイブが有った。

 

視点・論点 「社会保障と税の一体改革素案(1)消費税について」
NHK 2012年01月16日 (月)
慶応義塾大学教授 土居丈朗
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/108534.html

 

この中で教授は、「消費税増税により物価が上がればデフレも脱却できる」について、図を示して次のように説明している。

 

(引用ここから)

図をご覧いただきたいと思うのですが、日本は1990年代半ばから物価上昇率がマイナスになるというデフレの状況が続きました。
そこで1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられた時には、このグラフが示すように
1.5%近くの物価上昇が観察されました。

 

その後、消費税は据え置かれ、デフレがずっと続いてきたわけですけれども、この日本経済の物価上昇の推移を元にして、私が分析したところでは、この赤い折れ線グラフに示されるように、もし今後消費税が引き上げられるということが予告されたならば、それを織り込んで、できるだけ早めに買い物をしようとか、ないしは、物価が上昇するということが、その消費税の引き上げによって引き起こされるということを通じて、実はデフレが止まるということが意図されています。

 

そういう意味で言いますと、8%や10%に引き上げられる時には、その都度物価が上がるということを通じて、そのデフレが止められるという可能性があるという点は、多くの経済学者が指摘しているところであります
(以下略)

 

消費税を上げれば当然物価は上がるが、需要も同時に落ちるからまたすぐに元に戻る。図を見れば明らかだ。それをこのセンセイは、そのときにすぐにまた税率を上げると物価の上昇が続くからデフレから脱却できるという。しかも、暗に消費税率が据え置かれてきたからデフレが続いたと言っている。

 

しかし、デフレとは物価の下落だけの問題ではなく、需要と供給のギャップを伴っているその状態のまま増税すると、需要が落ち込み、ギャップがますます広がることになる。物価だけ無理やり上げたとしても、需要不足という肝心の原因が解消されていなければ、デフレが解消するはずが無いのだ。

 

この人はそれすらも分からないか、無視しているのである。
そして、土居センセイは同じ番組で、こんなことも言っている。

 

(引用ここから)

(グラフ)
次のグラフをご覧いただきたいと思います。

我が国は2000年代の10年間にわたって、平均すると、実質経済成長率はマイナス0.5%でありました。
ヨーロッパ諸国は、ご承知のように、付加価値税という形で日本の消費税のようなものを課税していて、大体20%前後の税率になっています。

ところがその20%の税率だったヨーロッパ諸国が、2000年代の10年間でどれだけ経済成長をしたかといいますと、高い国では5%を超える経済成長をしていますし、平均的に見ても3%前後の経済成長を記録しています。

 

このグラフは、リーマンショックと呼ばれる世界金融危機の影響も当然含んだ形での10年間の経済成長率ですから、これだけ付加価値税率が高くても、青いグラフのような経済成長が、ヨーロッパ諸国では実現できたということになるわけです

(引用ここまで)

 

土居センセイは昨日のニュースでは消費増税しないと日本はギリシャになると言ったようだが、このグラフにはギリシャはない。ギリシャの付加価値税の税率は23%(食品などは13%)だが、あのギリシャですら、同じ期間で見れば日本よりはるかに経済成長しているのである。

 

第一、グラフに書かれている日本以外の国の税率は昔から高く、2000年以降は税率を変えていない。それ以前に税率を上げた時もデフレではなかったし、食品などの税率は低いまま据え置いている
1997年の日本の消費増税のように、デフレ時に生活必需品まで引き上げるようなバカなことはしていないのである。

 

拙エントリ【消費税を考える】欧州の消費増税はなぜうまくいったのか
 

つまり、日本のように20年も経済成長しない国が特殊なのであって、それは日本だけが長期に続くデフレから抜け出せないでいることが原因なのである。このグラフはデフレだから経済成長しないことを、まるで消費税率が低いからのように視聴者に印象付けしようとしている。

 

土居センセイは1970年生まれの41歳で、国会で一緒に証言した藤井聡先生や中野剛志さんなどと同世代である。そして、 『財務省財務総合政策研究所主任研究官(2002年8月~2004年3月』を務めるなど財務省と縁が深く、現在は『財務省財政制度等審議会財政制度分科会 委員』を努めている。その上、厚労省内閣府、人事院などの委員もいくつもこなしているようだ。

 

その立派な先生が財務省の研究機関でその論理に合うような研究をしたあと大学に戻る。こんどは財務省がその先生を審議会の委員などに任命して権威をつけてあげる。そして、その権威があるから、国会やNHKで財務省の代弁をしてもそれを信じる人が増えるというわけだ。

 

もっとも藤井先生と一緒に出席した参議院の公聴会では、すでに何回も藤井先生の話を聞いていた議員さん方にはばかにされている感じだった。それでも「不退転の決意」「負担の先送り」などという印象論しか言えない増税派にとっては貴重な「理論派』というわけだ。

 

彼なら、万一財務省の気が変わって「無税国家を目指す」などと言い出しても、その特殊な能力で一見もっともらしい理論的裏づけを考え出してくれるに違いない
(以上)
 

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熱中症?大停電?深刻な今夏の大阪電力事情 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/09 14:19

 

NHKの朝ドラ『梅ちゃん先生』の昨日の放送で、医者の卵の主人公たちが解剖実習中にいきなり停電になり、キャー、キャー騒ぐ場面が出てきた。そういえば大阪市内に住んでいた子供の頃はよく停電した。真っ暗になって何も見えないので、本当に怖かったことを思い出す。

 

当時は夕食時の停電が多かったと記憶しているが、各家庭が一斉に電灯とラジオを点けるからだったと思う。終戦から間もないあの頃、我が家には電灯とラジオ以外の電気製品など無かったはずで、アイロンはあったがガス式だった。冷蔵庫やエアコンはもちろん、扇風機もなかった。

 

うちが特別貧しかったのかもしれないが、冷蔵庫を持っている裕福な家庭でも電気のいらない氷冷蔵庫だし、家庭用洗濯機など見たのはずいぶん後のことで、どこの家でもたらいと洗濯板で洗濯していた。この頃は、電気といえば電灯のことだった。照明を点けることを今でも「電気をつける」と言うのはその名残だろう。

 

今年の夏、大阪の年寄りはその時代を思い出し、知らない世代は初めての停電を体験をすることになりそうだ。しかし、現代は電気が無ければ社会や家庭のあらゆる機能が停止する人命にかかわる様な影響も出るはずで、昔を懐かしんでいるような生易しい問題ではないだろう。

 

夏の電力需給:関電の供給力不足14.9% 検証委新試算
 
毎日新聞 2012年05月07日
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m020065000c.htm

 

原発依存度が断然高かった関電の供給力不足は深刻だ。各電力会社の需要と供給力をグラフで比較してみよう。

 

 

どこもギリギリで、余裕は無い。北海道電力と九州電力もマイナスになっているが、関西電力の不足は突出している。「彼らは原発を再稼動したいから供給力を隠しているだけ、だから大丈夫」という意見もありそうだが、その隠していた供給力はすでに相当吐き出しており、余力はそんなに無いだろう。

関電の一昨年、昨年の夏の実績と今年の見込みをみてみよう。

 

 

需要を見ると、一昨年は猛暑でピーク電力が高かった。直近にそういうことがあればそれでも大丈夫なように需要予測をするのが普通だと思うが、今年の需要予測は昨年よりは多いもののかなり低く設定されている。昨年の節電の実績などが取り込まれているからだ。

 

そして、原発ゼロの影響は揚水発電にも及び、余剰の夜間電力が減少したことから半分近くに落ちている。大阪府市のエネルギー戦略委員会ではこの揚水発電の稼動方法などについても細かい指摘がされているようで、関電が隠してきた余力はほとんど無くなっていると考えた方がいい

 

ということは、近年でもっとも最大電力が少なかった(リーマンショックのH21年より少なかった)昨年の実績よりも供給力は低いわけで、計画停電や強制力を伴った節電などが実施されるのは必至ということになる。大飯原発の再稼動は事実上無理なことから言っても完全に「非常事態」である。

 

しかし、昨日の毎日新聞(大阪版)の1面はその非常事態を伝えるニュースではなく、『大飯再稼動反対63%』の大見出しで『民意の「脱原発依存」志向が強まっている』と伝える世論調査の結果だった。
上記の関電の供給力不足を伝えたニュースは、うっかりすると見落としそうな4面に掲載されていた。

 

本社世論調査:大飯原発の再稼働「反対」は63%
 
毎日新聞 2012年05月07日
http://mainichi.jp/select/news/20120508k0000m040104000c.html

 

この夏にどんなことが起こるのかを、震災直後と夏にそれでひどい目にあっている東電管内の人たちなら分かっても、大阪の人間の多くは実感できない。ほとんどの人が大停電など経験したことがないし、経験していても私のように暗くて怖かったくらいしか覚えていないのだ。

 

しかし、間違いなく停電は起こる例えそれが計画的なものであっても人的な被害も含め大きな影響が出ることになる被害が最小限にとどまることを祈るばかりだが、ポピュリズムでは何も解決しないことを大阪人が思い知るためには、これはどうしても通らなければならない道かもしれない

(以上)

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不況とデフレはどこが違うか? ニュース記事に関連したブログ

2012/05/08 13:59

 

日本は1997年の橋本内閣による消費増税や社会保険料の引き上げ、それに所得減税の打ち切りなどにより急激に景気が落ち込み、結局いまに至るまでデフレが続いている。その間、小渕内閣の一時期や小泉内閣後期から安倍内閣にかけて景気回復の兆しを見せた時期もあった。

 

しかし、これらは小渕首相の急逝や小泉内閣の中野剛志さんが言うところのデフレ・レジームそのものの構造改革路線により頓挫した。特に小泉内閣の時期には金融緩和実施されており、この時に公共事業を削減しすぎなければ海外の好景気に乗ってデフレ脱却を果たせたかもしれない。

 

さらに、リーマンショック後に民主党の妨害に合いながらも積極財政を打ち出した麻生内閣は、日本を不景気から立ち直らせるかに見えた。しかし、デフレ・レジームにどっぷりと浸かった日銀の白川総裁が有効なデフレ脱却策を打たなかったことや、何より政権交代がそれを止めてしまった

 

そして、鳩山、菅、野田と続く民主党政権は経済政策という点でも最悪だ。「コンクリートから人へ」に象徴される公共事業の削減、「平成の開国」と銘打ったTPPという名の構造改革、そして、「税と社会保障の一体改革」の衣を着た消費増税と、デフレを促進する政策が並ぶ。

 

中野剛志さんや産経の田村秀男さんが指摘するように、現在のデフレは景気循環による不景気とは違う。不況は金融危機や原油の高騰などがきっかけで起こるが、政府が特に有効な手を打てなくてもいずれ回復してきた。

 

しかし、これがデフレとなると、正しい政策を実施しない限りそこから抜け出せないのである。
ここで、日本の戦後の好不況の波を見てみよう。次のグラフでは景気の変動と勤労者の平均給与の推移を並べて、バブル崩壊以前と以後ではその関係が大きく変わっていることを示している。

 

 

グラフに見るように、高度経済成長といわれた時期でも大きな景気の波があり、私の会社でも不景気になると大勢の配置転換があったりして雰囲気が悪くなったものだ。しかし、物価が毎年上がるのは当たり前だったが、給料も毎年それ以上に上がるので、収入面で将来の不安を感じることはあまりなかった

 

不景気になってもインフレ気味だから給料はそれなりに増えるし、不景気の後には好景気がくることが経験的に分かっている。こういう状態なら、例えば持ち家を考えた時に、ちょっときついと思うローンの返済でも年が経つにつれ実質的な負担がどんどん軽くなっていく

 

それを知っているから購入に踏み切れる。そうして家を持ってしばらくして、ローンの負担があってもちゃんと生活できることを確認すると安心して、こんどは車の買い替えを考えたりするのである。インフレというのは将来も物価(と給料)が上がると予測させるから、消費や投資の意欲を高めるのである。

 

しかし、バブル崩壊の頃から給与の上昇は止まり、1998年以降はかなり激しく減り続けているこれではどんなにローンの金利が低くても無理してまで持ち家を実現しようという気にはなれないだろう。無理にローンを組んでも給料が下がるようなら、車の買い替えどころではなくなってしまう。

 

このように、いわゆる不況と長期に続くデフレとは全く違うものだ。
繰り返になるが、好不況の波はどうしても起こるものだが、デフレはそれと違い、放置しておくと底なしに続く。そして、現在の日本は、もう15年もその状態が続いているのである。

 

単なる不況は、もし放置しておいてもたいてい解消する。しかし、デフレは放置しておいては直らないし、増税や構造改革などを治療のつもりで施すとかえって病状が悪化し、下手をすると命取りになりかねない。しかし、その正しい治療法は自民党などからすでに示されているのである。

 

さて、フランスの大統領選挙では緊縮財政のオランドが勝利し、あのギリシャも緊縮財政派の現与党が敗北したという。世界中がデフレへの歩みを速めているなか、それに抗する動きも出てきたようである。しかし、大勢は日本と同じく、それを加速させる緊縮財政や構造改革路線だ。

 

もし、それらのデフレ促進策を各国が実施することになれば、第2次世界大戦の大きな原因になった世界恐慌の二の舞である。

世界中が何年かの周期で繰り返す景気循環とデフレを混同しているいま、日本が15年も続くデフレから脱出して見せることが一番の大恐慌防止策だ。ところが、野田首相は増税で頭がいっぱいで白川総裁は金融緩和すると言いながら逆のことをする

 

彼らには、つける薬も飲ませる薬もない
(以上)

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夏の停電必至の大阪とスケープゴートにされる関電 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/07 17:32

 

原発依存度が一番高い関西電力が、現在もオール電化住宅を促進していると毎日新聞に叩かれている。オール電化はテレビなどの家電商品の需要が低迷する中、家電量販店などにとっては期待できる分野だった。だから関電の都合だけで急にやめられないないのは常識だと思うが、もちろんマスコミは容赦ない。

 

関西電力:オール電化住宅なお促進
 
今夏の電力需給が全国で最も逼迫(ひっぱく)する関西電力が、調理や給湯などをすべて電気でまかなうオール電化住宅の販売促進を続けていることが4日、分かった。政府試算で今夏の電力供給能力が最大需要より15%足りないと見込まれる同社管内で、需要を拡大させるオール電化推進には批判が上がりそうだ。【久田宏
(以下略)
毎日新聞 2012年05月05日 
http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e020162000c.html
 
批判が上がりそうだ」などと書かずに「皆で関電を叩きましょう」と正直に書けばいいのにと思うが、実は我が家も大分前にオール電化に切り替えていて、ちょっと複雑な気分だ。余剰の夜間電力を使っているので料金が安いし、なにより使い勝手がいい。それに、直火を使わないから安心感もある。

 

だから、切り替えてよかったと気持ちよく使ってきたが、原発が全部停止したことで余っていたはずの夜間電力が逆に足りなくなってきた。というのは、元々夜間の余剰電力のかなりの部分が原発によるものだったからだ。

 

原発は火力や水力にくらべて出力調整が容易ではない。だから、どうしても夜間の電力が大きく余るので、揚水発電所を作ったり、深夜電力を絡めたオール電化を促進してきた。特に原発比率が高い関電はオール電化に力を入れていたように思う。しかし、それが原発の停止で様変わりしてきた。

 

我が家としては、オール電化で世間様に貢献してきたつもりだったが、貴重な揚水発電用の電力を食っている不届き者になってしまったのだ。しかし、冬は室内でオーバーをはおり、夏は扇風機すらほとんど使わずに省エネしているのに、これ以上どうしたらいいだろうかと思う。

 

ところでその揚水発電だが、yuyuuさんブログ『実業の世界』【関電のプレゼン下手(第5回大阪府市エネルギー戦略会議における説明資料) 】で教えてもらった関電の説明資料によると、揚水発電の最大電力は昨年夏は448万kWだったが、今年の見通しは235万kWと大きく減少している。

 

第5回大阪府市エネルギー戦略会議ご説明資料~今夏の電力需給について
平成24年4月10日 関西電力株式会社

 

昨年夏の段階では美浜3号機や高浜4号機、それに大飯4号機も(昨年12月まで)稼動しており、その夜間電力で揚水発電所用のダムに水をくみ上げていた分が無くなってしまった。現在は火力発電による夜間電力しか見込めないのである。

 

関電には認可出力193万kWというかなり大きな奥多々良木発電所をはじめ、揚水発電所は5箇所ほどあるが、この認可出力というのはダムが満水の時の最大値だ。だから、その発電量は余裕電力でどれだけたくさんの水をポンプアップしておけるかによる。だから大雨でも降れば多少改善する。

 

関電の説明では今夏の電力は大幅に不足する見通しで、もし大飯原発の3、4号機を再稼動して、さらにその夜間電力を使った揚水発電の100万kWを加えても8%の不足になる。

 

福井・大飯原発:再稼働問題 3、4号機再稼働で不足8% 揚水100万キロワット追加  関電今夏見通し
毎日新聞
 2012年05月05日 大阪朝刊
http://mainichi.jp/area/news/20120505ddn003040016000c.html

 

大阪府市側は、関電が大飯原発を再稼動したいために供給力の実力を低く見ていると責め立て、関電がさらに検討して数字を上積みすると「それみろ、やっぱり隠していた」と非難している。しかし、現実に停電なって責任を問われるのは関電であって、責め立てている側は責任をとる気はないだろう。

 

彼らは、一昨年の猛暑ではなく昨年の節電を含んだ実績を踏まえて需要を想定すべきだとか、更なる節電を実施するべきだと言う。しかし、今年の夏が猛暑で渇水にならないなどと誰も保証できないし、節電もどれくらい効果があるかなどやってみなければ分からない

 

おそらく、橋下市長を先頭にマスコミ向けには節電のパフォーマンスはしてくれるだろうが、その結果については絶対に責任を持たないだろう。原発が再稼動してもそうでなくても、結果の責任は関電にすべて押し付けるつもりだろう。原発に頼ってきたお前たちが悪いというわけだ。

 

考えてみれば不思議な話である。関電がやっている節電キャンペーンはテレビのメーカーが「テレビを見ないようにしましょう」というキャンペーンをしているようなもので、しかも、大阪府や市、それに政府から、できるだけ売上を抑えるよう約束させられているようなものである。

 

それに、テレビの場合は売上げが約束の数字を超えても誰も困らないが、電力の需要が予測を超えれば大変なことになる。しかも、その需要予測は猛暑は来ない前提であり、現状その甘い予測に対してすら供給力は不足しているのである。

 

現実に供給不足に陥って計画停電や緊急停電の事態に至った時、いったいだれが責任を取るのだろう。いま行われている大阪府市エネルギー戦略会議というのは、関電に全責任を押し付けるための儀式と化しており、この夏間違いなくむかえそうな危機的状況をどう乗り切るかの見通しは見えない

 

正直に言うと、大阪に住んでいると昨年の東京電力管内の計画停電でどれだけ多くの人がひどい目にあったかの実感がない。しかし、それを体験した多くのブロガーが、大阪は原発でも何でも止めて「電気がない」ということがどれだけ大変か実感した方がいいと言っている。我々大阪人は能天気すぎるのである。

 

yuyuuさん『実業の世界』【<節電の恐怖>もう罰金100万円払って楽になりたいと思いましたよ】
 
http://yuyuu.iza.ne.jp/blog/entry/2678093/
夕刻の備忘録さん【関電は全電源を落とすべし】
 
http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-741.html

 

もう、大阪の停電は避けられないだろう。大阪を逃げだす企業もきっと急増する。それどころか、安全のために原発を止めたはずが逆に死者が出るという皮肉な結果も非常に懸念される。
いまは、そうならないように、関電の頑張りと冷夏を天に祈るしかなさそうだ。

 

とはいえ、橋下市長の発言や大阪府市エネルギー戦略会議でのやり取りを見ていると、そういう事態になった時の責任は、原発を止めても大丈夫と根拠無く断言した連中やそれを認めた橋下市長ではなく、すべて関電に押し付けられそうな気がする。これは政治の問題なのにである。

 

関電の原子力発電の比率が高いのは国の方針に従い、地元、関係自治体と緊密な連携をとりながら進めてきた結果だ。しかし、現状は関電一人に案を出させて、それを批判するだけ。しかも、頼みの大飯原発再稼動は政治的な判断で認められない。それでも電力不足は関電一人の責任なのか

 

かつての大阪府知事横山ノック氏は自身のセクハラ事件で、相手の女子大生を逆告訴して自分を守ろうとした権力をかさに着ている点がどこか似ているように思うが大阪の受けるダメージは比較にならないほど大きなものになるだろう。私も含めて多くの大阪人は、またまた同じ過ちを繰り返したようだ。

(以上)

 

《参考》
第8回大阪府市エネルギー戦略会議における関電説明資料

 http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120423/shiryo3-2-5-5.pdf

 

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